顎顔面矯正で子どもの顔は変わる?歯並び治療のメリット・デメリットをご紹介

「このまま放っておいて、本当に大丈夫なのかな……」
ふとした瞬間に見えるお子さまの歯並びや横顔に、不安を覚えたことはありませんか?
近年注目されている顎顔面矯正(がくがんめんきょうせい)は、成長期の子どもにしか行えない特別な矯正治療です。
本記事では、顎顔面矯正によって顔がどのように変化するのか、治療の特長や流れや実際のメリット・デメリット、そして床矯正との違いまでを整理して解説しています。
「いつから始めるべきか」「どんな効果があるのか」という疑問をお持ちの方に、判断材料としてお役立ていただければ幸いです。
目次
顎顔面矯正で子どもの顔は変わる?

顎顔面矯正を受けることで、顎の位置や骨格のバランスが整い、顔の印象が大きく変わることがあります。
ただし、「整形手術のように顔そのものを作り変える」といった治療ではありません。
本来の成長を正しい方向に導くことが目的で、あくまで自然な変化が期待できる治療です。
特に改善が期待できるのが「アデノイド顔貌(がんぼう)」と呼ばれる特徴的な顔つきです。
アデノイド顔貌とは?
アデノイド顔貌とは、口呼吸が習慣化することで現れる、骨格の発育に影響を及ぼす顔つきのことを指します。
鼻呼吸がうまくできず、常に口が開いた状態が続くと、舌や唇、頬などの筋肉が十分に働かず、顎や顔まわりの成長が妨げられてしまいます。
その結果、顎が小さく後退して見えたり、口元が前に出て顔全体が面長に見えるなど、特有の輪郭が形成されます。
口が閉じにくく、常にぽかんと開いているように見えるのもアデノイド顔貌の特徴のひとつです。
見た目の変化にとどまらず、歯並びや噛み合わせの乱れや睡眠時のいびき、猫背やストレートネックなどの姿勢の崩れ、さらには集中力の低下といった全身への影響が現れることもあります。
アデノイド顔貌の治療
アデノイド顔貌に対する歯科的な治療では、成長期の顎の発育を整える「顎顔面矯正」が基本となります。
この治療は、顎の幅や位置を適切に広げて骨格のバランスを正しく育てることで、歯並びだけでなく鼻呼吸のしやすさや顔の印象にも良い変化をもたらすことが期待されます。
ここからは、その治療内容について詳しく解説します。
顎顔面矯正の特徴

顎顔面矯正は、成長期の子どもの骨格の発育を利用して、顎の位置や大きさを整える治療です。
基本的には、永久歯が生えそろう前の限られた時期にしか行えない特別な矯正法といえます。
治療では、上記の図にあるような「急速拡大装置」が用いられます。
これは、上顎の中央にある成長のスキマ(正中口蓋縫合)を広げるための装置で、左右の奥歯に固定し、中央のネジを少しずつ回すことで上顎の幅を拡大していきます。
この治療の最大の特長は、歯並びだけでなく顎の骨格そのものにアプローチできる点にあります。
単に歯を動かすのではなく、顎の成長そのものを設計する治療法です。
見た目のバランスを整えるだけでなく、口呼吸の改善や噛み合わせの安定、姿勢や睡眠の質の向上にもつながる可能性があります。
顎顔面矯正のメリット・デメリット
ここでは、顎顔面矯正のメリット・デメリットの両面を詳しくご紹介します。
顎顔面矯正のメリット

- 顎の骨格バランスを整えるアプローチが可能
- 歯がきれいに並ぶスペースを確保しやすい
- 鼻呼吸がしやすい状態を目指せる
- 姿勢や全身バランスが整いやすい
- 子どものうちに歯並びの土台を整えられる
顎顔面矯正では、顎の成長をコントロールすることで噛み合わせのバランスが整い、片側ばかりで噛むクセの改善が期待できます。
舌の位置も安定しやすくなり、発音や飲み込みがスムーズになるケースもあります。
顎の拡大によって気道が広がると、いびきや軽度の睡眠時無呼吸などの呼吸トラブルがやわらぎ、夜間の呼吸が安定することで日中の集中力や学習効率の向上につながる場合もあります。
また、顎の位置と体の重心は深く関わっており、治療によってバランスが整うと、姿勢や身体の使い方に変化を感じるお子さまもいます。
スポーツや習い事に取り組む中で、思わぬプラスの効果が得られることもあるでしょう。

顎顔面矯正のデメリット
- 治療期間が長くなりやすい
- 子どもの協力度が効果に影響する
- 費用が比較的高額(保険適用外)
- 効果に個人差がある
- 保護者のサポートが欠かせない
顎顔面矯正は、顎の成長に合わせて段階的に進める治療で、完了までに数年かかることもあります。
装置の装着を続ける必要があり、治療の進み方はお子さまの協力度に左右されます。
無理なく続けるには、家庭でのサポートが欠かせません。
痛みや不安に寄り添い、前回との変化を一緒に確認することで、意欲を保ちやすくなります。
また、顎の成長スピードや骨格には個人差があり、効果の現れ方や治療期間にはばらつきがあります。
焦らず、お子さまのペースに合わせて進めることが大切です。
費用は自由診療となり、治療内容や装置によって異なりますが、相場は30~80万円前後です。
多くは医療費控除の対象となるため、事前に歯科医院へ確認しておきましょう。
顎顔面矯正と床矯正の違い
項目 | 顎顔面矯正 | 床矯正(しょうきょうせい) |
---|---|---|
対象年齢 | 5〜12歳(乳歯列期〜混合歯列期):成長を利用できる年齢 | 6〜12歳(混合歯列期):永久歯が生え始める時期 |
治療目的 | 顎の成長誘導、骨格のズレの改善、上顎の拡大 | 歯列の横幅を拡大し、歯を並べやすくする |
治療方法 | 急速拡大装置などで骨の縫合部を広げ、顎の発育を促す | プレート型装置で歯列を側方へ少しずつ拡大 |
適応範囲 | 軽度〜重度の骨格性不正咬合(上顎劣成長など) | 軽度〜中等度の歯列不正(叢生など) |
費用目安 | 30~80万円 | 20~40万円 |
治療期間 | 2年〜4年 | 1年〜3年 |
その他 | ヘッドギア・固定式装置などを併用することがある | 取り外し式で、装着時間の管理が必要 |
床矯正は、歯が並ぶスペースをつくるために歯列を横に広げる治療で、軽度のがたつきや前歯のねじれに対応しやすい方法です。
主に「歯列そのもの」にアプローチするため、始めやすく費用も比較的抑えられます。
一方の顎顔面矯正は「顎の骨格」に働きかけ、成長をコントロールしながらバランスを整える治療です。
特に、口呼吸やアデノイド顔貌など、床矯正だけでは十分な改善が見込めず顎顔面矯正が適応されることがあります。
床矯正でも歯並びは整いますが、骨格の成長や呼吸機能への影響は限定的であるため、将来的に再治療や抜歯が必要になることもあります。
治療法を選ぶ際は、歯並びだけでなく、骨格や呼吸機能を含めた総合的な診断に基づいて判断しましょう。
子どもの歯並びが気になったらまずは無料相談!

顎顔面矯正は、永久歯が生えそろう前の限られた時期にしか行えない、成長期ならではの治療です。
見た目のバランスを整えるだけでなく、口呼吸や猫背の予防、発音や飲み込みのしやすさなど、子どもの日常生活や学習環境にも大きく関わります。
歯並びだけで判断するのではなく、鼻呼吸ができているか、就寝中にいびきをかいていないか、食事や会話に違和感がないかなど、日々の様子にも目を向けてみてください。
当院では、お子さまの顎顔面矯正にも対応しています。
治療が必要かどうかという初期段階のご相談も、無料で承っております。
無理な勧誘などは一切行っておりませんので「ちょっと話を聞いてみたい」という気軽な気持ちで、どうぞ安心してご相談ください。
当院では、矯正治療を専門とする私がすべての診療を担当しています。治療中に気になることがあれば、その場で直接ご相談いただけますので、初めての方でも安心してお越しください。